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2025/06/24 3か月を過ぎた後の相続放棄手続き
相続放棄の申述は原則として「自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内(熟慮期間)」に家庭裁判所に申し立てる必要があります。ただし、この3か月を過ぎた場合でも、一定の条件下では相続放棄が認められる可能性があります。以下に、3か月を過ぎた後の相続放棄手続きの流れと注意点を詳しく解説します。
【1】相続放棄の熟慮期間を過ぎた場合の基本方針
◉ 原則:相続放棄は不可
民法では、3か月以内に相続放棄をしないと「相続を承認した(単純承認)」ものと見なされ、原則として放棄は認められません。
◉ 例外:3か月経過後でも相続放棄が認められるケース
以下のような特別な事情がある場合、家庭裁判所が「3か月の起算点を遅らせる」判断をすることがあります。
【2】3か月経過後に相続放棄をするための手続きの流れ
① 専門家(弁護士や司法書士)に相談する
3か月を超えているため、家庭裁判所に事情を説明するための理由書や証拠が必要になります。専門家の助言のもと、手続きを進めるのが安全です。
② 相続放棄の申述書の準備
通常の放棄申述書に加え、以下の書類が求められます:
理由書:なぜ3か月を過ぎたのかの説明
証拠書類:被相続人の借金などを知らなかった証拠(督促状のコピーなど)
戸籍謄本や住民票:法定相続人であることの証明
③ 家庭裁判所へ相続放棄を申述
被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。申立費用は通常、収入印紙800円+郵便切手代です。
④ 家庭裁判所の審査
3か月を超えているため、家庭裁判所が提出された理由書や証拠をもとに、相続放棄を「相当」と認めるかどうかを判断します。
⑤ 放棄の可否の通知
審査結果が出ると、放棄が受理されたかどうかの「審判書」が届きます。受理された場合は、相続放棄が有効となり、法的に相続人ではなくなります。
【3】相続放棄が認められにくいケース
以下のような場合、放棄が認められない可能性が高いです:
・すでに遺産の一部を使ってしまっている(例:預金の引き出し、遺品の処分)
・相続債務の存在を以前から知っていた、もしくは知ることができた
・他の相続人や第三者に「相続人として振る舞った」ことがある
【4】まとめとアドバイス
3か月を過ぎても、相続放棄がまったく不可能になるわけではありません。債務の存在に後から気づいたなどの特別な事情がある場合には、家庭裁判所に理由をしっかり説明することで放棄が認められる可能性があります。ただし、事例ごとに判断が分かれるため、できるだけ早く専門家に相談することが重要です。
