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2025/06/17 相続時精算課税制度とは?
相続時精算課税制度は、『贈与時に一括で税金を支払う代わりに、相続時に贈与分をまとめて相続財産として精算(課税し直す)』という制度です。
◉ 背景
通常、親から子へ財産を贈与すると「贈与税」が発生します。しかし贈与税は累進課税であり、高額な財産には大きな税金がかかります。
これに対して、「相続時精算課税制度」では、贈与税を軽減しつつ、将来の相続時にまとめて課税することで、相続税の公平な課税を目的としています。
■ 制度の基本的な仕組み
・選択制
通常の「暦年課税(年間110万円非課税)」とどちらかを選択する必要がある(選択後は変更不可)
・対象者(贈与者)
60歳以上の父母または祖父母
・受贈者(財産をもらう人)
18歳以上の推定相続人(子や孫)
・非課税枠
2,500万円まで贈与税がかからない(合計で)
2,500万円を超える部分 一律20%の贈与税がかかる
・相続時
生前贈与された財産を相続財産に加算し、相続税として再計算する
■ 数字でみる課税イメージ
例えば、父が60歳、子が30歳のときに2,800万円の財産(不動産など)を贈与したとします。
相続時精算課税制度を選択
2,500万円までは贈与税 非課税
超過分300万円 × 20% = 60万円の贈与税
→ 贈与時には60万円だけ納税。
→ 将来の相続時に、この2,800万円を含めて相続税を精算。
■ 制度のメリット
メリット
✅ 早期の資産移転が可能
子や孫に大きな財産(不動産・事業用資産など)を一括で渡せる
✅ 贈与税の負担を軽減できる
2,500万円まで贈与税がかからないので、高額資産でも有利
✅ 不動産の値上がり対策に有効
値上がる前に不動産を贈与すれば、相続時の評価額が抑えられる可能性
✅ 相続対策に活用できる 節税だけでなく、将来の分割対策にも活用可能
■ 制度のデメリット・注意点
デメリット
⚠ 選択したら暦年課税に戻れない
一度相続時精算課税制度を選択したら、110万円の非課税枠は今後使えない
⚠ 将来の相続税負担が増える可能性
生前贈与分が相続税計算に加わるため、相続時の税額が増えるケースあり
⚠ 申告手続きが複雑
贈与時の申告だけでなく、相続時に再度計算と申告が必要
⚠ 贈与のたびに申告が必要
非課税枠内であっても、贈与のたびに税務署への申告が必要になる
■ 活用する際のポイント
長期的な相続対策を立てた上で使う
不動産や株式など値上がり資産の早期移転に有利
将来の相続人間トラブルを防ぐために、事前に家族で話し合いをしておく
制度利用には、毎年の贈与ごとに贈与税申告が必要(非課税でも)
■ 相続時精算課税制度はこんな人に向いている
値上がりする前に不動産を贈与したい人
節税よりも早めの財産移転を重視したい人
相続税の基礎控除を大きく下回る資産規模の人
贈与する財産が1人の相続人に集中しているケース
■ まとめ
制度の選択 :一度選ぶと暦年課税に戻せない
税金の負担 :贈与時は軽減、相続時に再計算
使い方 :資産移転、相続対策に有効だが慎重に
制度を使うかどうか迷う場合は…
相続税や贈与税の専門家(税理士)に相談し、「総合的な相続シミュレーション」を行ってから判断することが重要です。
