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2025/05/06 限定承認とは
限定承認(げんていしょうにん)とは、相続人が被相続人(亡くなった人)の相続財産の範囲内で、債務や遺贈の弁済責任を負うことを前提に相続を承認する制度です。
通常の相続との違い
相続には、主に以下の3つの方法があります。
単純承認
↓
すべての財産(積極財産・消極財産)を無条件に相続する 、無制限に負担
相続放棄
↓
一切の相続権を放棄する、負担なし
限定承認
↓
財産の範囲内でのみ負債等を引き受ける、財産の限度内で負担
【限定承認の意義
限定承認の制度は、次のような場合に特に有用です
被相続人の債務が明確でない
債務超過かどうかが不明
一定の資産(不動産や事業など)を保持しつつ、責任を限定したい
たとえば、被相続人に高額な不動産があるが、その評価額が不明で、負債も多額に存在する可能性がある場合、単純承認すると相続人が債務超過で困窮するリスクがあります。限定承認を行えば、相続財産の範囲を超えて負債を返済する義務がなくなるため、リスクを制御できます。
【限定承認の手続き
家庭裁判所への申述
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相続開始(被相続人の死亡)を知った時から3か月以内に、家庭裁判所へ限定承認の申述書を提出します
共同相続人全員の同意が必要
↓
限定承認は相続人全員の共同でのみ可能であり、一人でも反対があると実行できません
公告・債権者への弁済
↓
申述が受理された場合、相続財産管理人が債権者へ公告し、財産の範囲内で債務を弁済していきます
【注意点とデメリット
手続きが複雑で専門家の関与が必要
税務上の評価と異なる場合、予期せぬ相続税負担が生じる可能性
共同相続人全員の同意がなければ不成立
【実務上のアドバイス
限定承認は、法的知識と慎重な財産調査が求められる制度です。不明な債務や資産がある相続においては、弁護士・司法書士・税理士と連携した適切な判断が不可欠です。特に、相続税や不動産の処理が関係する場合は、税理士や不動産の専門家との協議をおすすめします。
限定承認とは一言で申し上げますと、「プラスの財産の範囲内でマイナスの借金も引き継ぐ、安心できる相続の仕方」です。
